2010年3月5日

第10回地下環境水文学に関する研究集会の実施報告

鹿児島大学 中川 啓

1.    第10回研究集会の報告

環境問題に役立つ水文学の視点で地下水理学・水文学の現状を整理し,土壌・地下水汚染などの地下環境問題解決に役立つ研究の推進を目的した研究集会を水文部会地下環境水文学研究グループ主催で下記の通りに実施した.本年度の研究集会では,九州大学大学院工学研究院の神野健二教授を招き,地下環境水文学の今後の方向性および地下環境問題について議論する場を設けた.今回の研究集会では特別講演を含めて11の研究発表が行われた.発表内容は,九州大学の新キャンパスにおける水循環系保全の取り組みに関する特別講演のほかに,移流分散特性に関する研究が3,間隙水中の溶存物質の吸着や輸送に関する研究が2,地下水汚染に関する研究が2,海底地下水湧出に関する研究が1,淡塩水境界の判別に関する研究が1,流出解析に関する研究が1という構成で,参加者の間で活発に議論が行われた.本研究集会は実質的な意見交換のできる場として開催しており,本年度もその目的を十分達成できたと思われる.

2.来年度以降の活動方針

・  来年度以降のグループの活動方針として来年度も研究集会を開催する.

・  開催場所は香川県または沖縄県の予定.

・  開催時期は未定.

◆  日時:2009年9月5日(土)〜9月6日(日)

◆  会場:九州大学西新プラザ

◆  参加者

神野健二(九州大学),江種伸之(和歌山大学),安元純(琉球大学),齋藤雅彦(神戸大学),伊藤祐二(九州大学),羽田野祐子(筑波大学),井上一哉(神戸大学),黒田啓介(東京大学),森裕樹(九州大学),華井英樹(和歌山大学大学院),原田大輔(和歌山大学大学院),下大迫博志(八千代エンジニヤリング),堤敦(エスジー技術コンサルタント),木下孝介(地盤調査事務所),末益大嗣(九州大学大学院),野村哲裕(九州大学大学院),甲木守(九州大学大学院),ラクスミリ・メイ(九州大学大学院),中川啓(鹿児島大学) 以上19名.

◆  プログラム(発表15分,質疑10分)


9月5日(土)

13:30〜13:55 マイクロ波の反射および吸収特性を利用した地下水面と淡塩水境界面の同時計測

        九州大学生物環境調節センター 伊藤祐二

13:55〜14:20 大阪湾御前浜の生物生息環境に海底地下水湧出が及ぼす影響 琉球大学農学部 安元 純

14:30〜14:55 農業活動が盛んな紀の川流域の水流出解析 和歌山大学大学院 華井英樹

14:55〜15:20 実汚染土の土壌溶液カドミウム濃度に対するpHおよびイオン組成の影響

        九州大学農学研究院 森裕樹

15:20〜15:45 原位置バイオレメディエーション適用時の揮発性有機塩素化合物の脱塩素化速度

        和歌山大学大学院 原田大輔

15:55〜16:55 特別講演会「九州大学伊都キャンパスにおける水循環系保全の取り組みについて」

        九州大学工学研究院 神野健二


9月6日(日)

09:30〜09:55 多孔質媒体中の気液間物質移動のある反応モデルとベキ乗則

        筑波大学機能工学系 羽田野祐子

09:55〜10:20 ランダムウォーク法によるマクロ分散の検討 神戸大学農学研究科 井上一哉

10:30〜10:55 不飽和鉛直浸透場における物質輸送の数値シミュレーション

        神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部 齋藤雅彦

10:55〜11:20 医薬品類を下水マーカーとした地下水汚染の解析 東京大学大学院 黒田啓介

11:20〜11:45 火山灰土壌における塩吸着とイオン交換反応の取り扱い 鹿児島大学農学部 中川 啓