2011年3月10日

第11回地下環境水文学に関する研究集会の実施報告

鹿児島大学 中川 啓

1.    第11回研究集会の報告

環境問題に役立つ水文学の視点で地下水理学・水文学の現状を整理し,土壌・地下水汚染などの地下環境問題解決に役立つ研究の推進を目的した研究集会を水文部会地下環境水文学研究グループ主催で下記の通りに実施した.本年度の研究集会では,琉球大学農学部の中野拓治教授を招き,地下環境水文学の今後の方向性および地下環境問題について議論する場を設けた.今回の研究集会では特別講演を含めて10の研究発表が行われた.発表内容は,有明海泥質干潟に対する浮遊系-底生系結合生態系モデルに関する特別講演のほかに,地下水・土壌汚染に関する研究が3,測定や観測による現象の把握に関する研究が3,移流分散現象に関する研究が1,地上の熱環境緩和に関する数値実験的研究が1という構成で,参加者の間で活発に議論が行われた.本研究集会は実質的な意見交換のできる場として開催しており,本年度もその目的を十分達成できたと思われる.

 

2.来年度以降の活動方針

・  来年度以降のグループの活動方針として来年度も研究集会を開催する.

・  開催場所は香川県の予定.

・  開催時期は未定.

◆  日時:2010年10月16日(土)〜10月17日(日)

◆  会場:琉球大学研究者交流施設・50周年記念館

◆  参加者

坂本 康(山梨大)・中野拓治(琉球大)・山下清吾(豊田高専)・江種伸之(和歌山大)・齋藤雅彦(神戸大)・鷲見哲也(大同大)・石塚正秀(香川大)・安元 純(琉球大)・木下孝介(法政大)・保高徹生(国際環境ソリューションズ(株))・山本一生(いであ(株))・佐藤泰夫(いであ(株))・藤沼紀敏(いであ(株))・花岡郁美(琉球大)・寺澤春奈(琉球大)・中川 啓(鹿児島大) 以上16名.

◆  プログラム(発表15分,質疑10分)


10月16日(土)

13:30〜13:55 ストリートキャニオン内での保水性舗装による熱環境緩和効果に関する数値実験

        法政大学大学院 木下孝介

13:55〜14:20 関東ローム中におけるホウ素汚染土壌の挙動予測とリスク評価

        国際環境ソリューションズ(株) 保高徹生

14:30〜14:55 地下水揚水を併用した原位置封じ込めによるリスク低減効果に関する解析的検討

        和歌山大学工学部 江種伸之

14:55〜15:20 森林土壌の電気伝導性の降雨浸透率測定への応用

        豊田工業高等専門学校 山下清吾

15:20〜15:45 差圧マノメータを利用した交互砂州の河川水・伏流水水交換の定性的把握

        大同大学工学部 鷲見哲也

15:55〜16:55 特別講演会「有明海泥質干潟に対する浮遊系-底生系結合生態系モデルの適用」

        琉球大学農学部 中野拓治


10月17日(日)

09:30〜09:55 水文気象観測による黄砂発生と土壌水分との関係の解明

        香川大学工学部 石塚正秀

09:55〜10:20 不均一地盤モデルを用いた巨視的分散長の推定方法に関する研究

        神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部 齋藤雅彦

10:30〜10:55 沖縄本島南部における海底地下水湧出がサンゴの生息環境に及ぼす影響

        琉球大学農学部 安元 純

10:55〜11:20 流域内の2つのシラス台地における硝酸汚染進行メカニズムの比較

        鹿児島大学農学部 中川 啓